タイ:古都アユタヤの魅力にせまる

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バンコクから北へ約80キロメートル、チャオプラヤー川のほとりに広がる古都アユタヤ。

かつてアユタヤ王朝の首都として417年間にわたり栄華を極めたこの都市は、今では世界遺産に登録され、多くの旅行者を魅了し続けています。

赤レンガの遺跡群と仏像が織りなす神秘的な風景は、訪れる者を数百年前のタイムスリップへと誘います。

アユタヤの歴史と魅力

アユタヤ王朝は1351年から1767年まで続き、その全盛期には100万人以上が暮らす国際貿易都市として繁栄しました。

日本との関係も深く、山田長政をはじめとする日本人町も形成されていたことで知られています。静岡出身の私としては、毎年行われる静岡まつりの大名行列の中に山田長政が登場していたので、遠くタイの地でその名を聞くのはとても感慨深いものがありました。
しかし1767年、ビルマ軍の侵攻により都市は破壊され、多くの寺院や仏像が損壊を受けました。その廃墟となった姿が、逆に独特の美しさと歴史の重みを感じさせる遺跡となって現在に残っています。

必見の主要遺跡

ワット・マハータート

アユタヤを象徴する最も有名な遺跡がワット・マハータートです。1374年に建立されたこの寺院は、かつて重要な王室寺院でした。ここで最も印象的なのは、菩提樹の根に囲まれた仏頭です。ビルマ軍の侵攻時に地面に落ちた仏頭が、長い年月をかけて木の根に取り込まれていった姿は、自然と歴史が融合した神秘的な光景として多くの観光客を魅了しています。

この仏頭と記念撮影する際は、仏頭より頭を低くして撮影することがマナーとされています。

境内には崩れた仏塔や首のない仏像が点在し、戦禍の激しさを物語っています。夕暮れ時には西日が赤レンガの遺跡を照らし、特に幻想的な雰囲気を醸し出します。

ワット・プラシーサンペット

アユタヤ王宮内にあった最も重要な寺院で、バンコクのワット・プラケオに相当する格式を持っていました。1448年に建立され、歴代の王の遺骨が納められていました。特徴的な3基の仏塔が並ぶ姿は、アユタヤを代表する景観として知られています。これらの仏塔はセイロン様式の影響を受けており、優美な曲線を描いています。

かつてここには高さ16メートル、重さ171キログラムの金で覆われた立仏像が安置されていましたが、ビルマ軍侵攻時に破壊されてしまいました。現在は基壇や柱の跡が残るのみですが、その広大な敷地からかつての栄華を想像することができます。

ワット・ヤイチャイモンコン

1357年に初代ウートン王が建立した寺院で、現在も現役の寺院として機能しています。高さ72メートルの大仏塔は遠くからでも目を引く存在で、急な階段を登って頂上まで行くことができます。頂上からはアユタヤの街並みを一望でき、特に夕暮れ時の眺望は格別です。

境内には白い布を纏った多くの仏像が整然と並び、独特の景観を作り出しています。また、涅槃仏も安置されており、その穏やかな表情は訪れる人々の心を和ませます。地元の人々が祈りを捧げる姿も見られ、生きた信仰の場としての側面も感じられる場所です。

ワット・ロカヤスタ

広々とした草原の中に横たわる全長28メートル、高さ5メートルの巨大な涅槃仏が印象的な遺跡です。屋根もない野外に安置されているため、青空を背景にした姿は開放感に満ちています。かつては建物に覆われていましたが、現在は基礎部分だけが残っています。

この涅槃仏の穏やかな微笑みは「アユタヤの微笑み」として親しまれ、多くの参拝者が訪れます。仏像の足元には参拝用の祭壇があり、金箔や花を供える地元の人々の姿も見られます。

アユタヤへのアクセス

バンコクからアユタヤへは複数の方法でアクセスできます。

鉄道を利用する場合、バンコクのフアランポーン駅またはバンスー駅から普通列車で約90分、運賃は20バーツ前後と非常にリーズナブルです。ただし、冷房がない車両が多く、遅延も頻繁にあるため時間に余裕を持つことが大切です。

バスの場合は、北バスターミナル(モーチット)から約1時間半で到着し、運賃は60バーツ程度です。冷房付きで比較的快適に移動できます。

時間を有効に使いたい場合は、バンコク発の日帰りツアーに参加するのが良いでしょう。
主要遺跡を効率よく回れ、日本語ガイド付きのツアーもあります。

Klook.com

遺跡巡りのベストな方法

アユタヤ歴史公園は広大なため、徒歩ですべてを回るのは困難です。
最も一般的で便利なのがレンタサイクルです。駅周辺に多くのレンタル店があり、1日50〜100バーツ程度で借りられます。
平坦な道が多く、遺跡から遺跡への移動も快適です。

トゥクトゥクをチャーターする方法もあります。
3時間で約800〜1,000バーツが相場で、主要な遺跹を効率よく回ってくれます。
暑い日や体力に自信がない場合はこちらがおすすめです。

近年人気なのがレンタルバイクです。1日200〜300バーツで借りられ、行動範囲が広がります。ただし、国際免許証が必要で、タイの交通事情に慣れていることが前提となります。

訪問のベストシーズンと注意点

アユタヤ観光のベストシーズンは11月から2月の乾季です。気温も比較的涼しく、雨の心配も少ないため快適に観光できます。ただし、この時期は観光客も多くなります。

3月から5月は猛暑期で、気温が40度近くになることもあります。日中の観光は非常に厳しいため、早朝か夕方の涼しい時間帯に訪れることをおすすめします。
6月から10月は雨季ですが、一日中降り続けることは少なく、午後のスコールに注意すれば観光は可能です。

遺跡観光の際は、帽子、日焼け止め、水分補給が必須です。多くの遺跡には日陰がほとんどないため、熱中症対策は十分に行いましょう。また、寺院を訪れる際は肌の露出を控えた服装が求められます。短パンやタンクトップは避け、膝と肩が隠れる服装を心がけましょう。

グルメと宿泊

アユタヤには美味しいタイ料理店が数多くあります。特に川沿いのレストランでは、チャオプラヤー川を眺めながら食事を楽しめます。名物料理としては、アユタヤ風クイッティアオ(米麺)や川エビの炭火焼きが有名です。

また、ロティサイマイという綿菓子のようなお菓子をクレープで巻いたスイーツは、アユタヤの伝統的なデザートとして観光客に人気です。市場や屋台で手軽に購入できます。

宿泊施設は、格安ゲストハウスから高級リゾートまで幅広く揃っています。
川沿いのホテルに泊まれば、ライトアップされた遺跡を眺められる特別な体験ができます。ただし、多くの旅行者はバンコクから日帰りで訪れるため、宿泊する場合は静かでゆったりとした時間を過ごせるというメリットがあります。

まとめ

アユタヤは、タイの豊かな歴史と文化を肌で感じられる貴重な場所です。
崩れた寺院や仏像が語りかける物語は、単なる観光スポット以上の深い感動を与えてくれます。

バンコクから気軽にアクセスできる距離にありながら、都会の喧騒から離れて歴史に思いを馳せることができる特別な空間です。

一日あれば主要な遺跡を回ることができますが、時間があればゆっくりと二日間かけて巡るのもおすすめです。夕暮れ時の遺跡の美しさ、早朝の静寂な雰囲気、それぞれの時間帯で異なる表情を見せるアユタヤの魅力を、ぜひ自分の足で体験してみてください。古都の静かな佇まいの中で、時を超えた旅の記憶が心に刻まれることでしょう。

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