海外のホームスクーリング事情

概要

海外におけるホームスクーリング(家庭教育)は、かつてはニッチな選択肢でしたが、近年では主流の教育形態の一つとして成長しています。
特にCOVID-19パンデミックによるリモート学習の普及が、この傾向を加速させました。
オンライン学習プラットフォームや教育テクノロジーの進化により、ホームスクーリングはよりアクセスしやすく、効果的なものになっています。


ホームスクーリングの現状と統計

ホームスクーリングは、特に英語圏の国々で盛んに行われています。

  • アメリカ: 世界で最もホームスクーリングが普及している国です。2021年から2022年のデータでは、幼稚園から高校までの生徒のうち約310万人、つまり学齢期の子どもの約6%がホームスクーリングを受けています。
  • イギリス: 2022年から2023年の学年度には、12万6,000人以上の子どもが自宅で教育を受けており、この数は過去数年間で大幅に増加しました。
  • カナダ: 推定で約8万人の子どもがホームスクーリングを受けています。
  • オーストラリア: 登録されているホームスクーリング家庭が2万世帯を超えています。

これらの国々では、ホームスクーリングは教育の選択肢として法的に認められており、リソースも豊富です。


各国の法的な状況

ホームスクーリングの法的扱いは国によって大きく異なります。

  • 全面的に許可されている国: アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランドなど、多くの国でホームスクーリングは合法な教育形態とされています。
  • 厳格な条件付きで許可されている国: オーストリア、ベルギー、ポーランド、ハンガリーなどでは、国が定める基準と同等の教育が行われていることを証明するための定期的な検査や試験が義務付けられています。
  • 非合法とされている国: ドイツやスウェーデンなど、一部のヨーロッパ諸国ではホームスクーリングが禁止されており、子どもには学校に通うことが義務付けられています。

ホームスクーリングを選択する主な理由

保護者がホームスクーリングを選ぶ理由は多岐にわたりますが、主に以下のような点が挙げられます。

  • 学校環境への懸念: 学校の安全性、薬物問題、ネガティブな人間関係(いじめなど)を懸念する保護者が多くいます。
  • 学力向上への不満: 従来の学校教育における指導内容や方法に不満を感じ、より個別化された教育を望むケースです。
  • 道徳・宗教教育の重視: 家庭の価値観や信仰に基づいた道徳・宗教教育を子どもに提供したいという理由。
  • 家族との時間の重視: 家族との生活をより大切にしたいというライフスタイル。
  • 教育技術の進化: オンライン学習プラットフォームの充実により、質の高い教材や専門的な指導が自宅でも受けられるようになったことが、選択を後押ししています。

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