成田からスクートで台湾へ
2026年1月3日、私たち家族は久しぶりの成田エクスプレスで成田空港に向かう。前日からの雪で千葉に入ると沿線にはうっすらと雪が積もっていた。
翌日1月4日に基隆港から出港するノルウェージャンクルーズの船に乗船するため、前日入りを決めていたのだ。
我が家は4人家族。私と妻、6歳の長女・Aiko、そして4歳の次女・Aoi。
今回選んだのはLCCのスクート航空。
実は、2023年にシンガポールへ家族旅行した際にもスクートを利用しており、その時も桃園空港でトランジットしたので、桃園空港は今回が2度目の訪問だった。







「また桃園空港だね」と妻が言う。
「前回はトランジットだけだったけど、今回は台湾に滞在できるから楽しみだね」と私。
フルサービスキャリアと比べれば座席は狭いし、機内食も有料だが、成田でブランチを済ませたばかりで、無理に機内食を食べなくていいのは逆に都合が良いし、家族旅行ではコストを抑えられるのがありがたい。浮いた予算は現地での食事や観光に回せるというものだ。
チェックインカウンターで預け荷物を託し、保安検査場を抜けると、AikoとAoiはすでに興奮気味。
「今回のクルーズ船って大きいの?」「プールあるんでしょ?」と質問攻めにあいながら、私たちは搭乗ゲートへと向かった。
約4時間のフライトは思ったより快適だった。
前回のシンガポール行きで慣れていたこともあり、家族全員リラックスして過ごせた。LCCだからと身構える必要もなく、座席も清潔で、CAさんたちも親切。窓の外に広がる青い海と白い雲を眺めていると、あっという間に台湾の海岸線が見えてきた。
懐かしい桃園空港から基隆へ
午後2時過ぎ、台湾桃園国際空港に到着。
「ああ、ここ覚えてる!」と愛子が声を上げる。確かに、2023年のトランジットの時に見た景色だ。あの時は空港内をうろうろしただけだったが、今回はここから台湾での滞在が始まる。
入国審査を済ませ、預け荷物を受け取りMRTの駅を探す。バスという選択肢もあったが、子どもたちは電車が好きだし、乗り換えも含めて旅の楽しみの一つだ。
空港から桃園メトロに乗り、台北駅へ。そこから台鉄に乗り換えて基隆を目指す。
車窓から見える台湾の風景は、日本とは違う独特の雰囲気があった。
高層ビルと古い建物が混在し、看板には中国語が並ぶ。
AikoもAoiも「日本と似てるけど、なんか違うね」と興味津々の様子だ。
約2時間ほどかけて基隆駅に到着。駅から5分ほど歩いてホテルにチェックインを済ませ、荷物を置いて一息ついたのは午後6時頃だった。翌日の乗船は午後からなので、今夜は基隆をゆっくり楽しめる。




日本はまだ正月気分が残る時期だが、台湾は旧暦の春節を祝う文化なので、1月3日の金曜日は普通の平日。とはいえ、観光客で賑わう基隆の街には、どことなく活気が満ちていた。
いざ、基隆廟口夜市へ
ホテルで少し休憩した後、午後6時半頃に夕食に出かけることにした。基隆といえば基隆廟口夜市が有名だ。ホテルのフロントで道を確認すると、歩いて15分ほどの距離だという。天気も良いし、夕暮れ時の基隆の街を歩いて向かうことにした。
愛子と葵彩の手を引きながら、夜市へと続く道を歩く。台湾の街並みは、夕方になると独特の雰囲気を醸し出す。提灯が灯り始め、店から漏れる明かりが道を照らす。通りを行き交う人々の表情も、仕事を終えてこれから夜を楽しもうという活気に満ちていた。
15分ほど歩いて夜市の入口に着くと、すでに多くの人で賑わっていた。金曜日だというのに、この人出。さすが基隆を代表する観光スポットだ。提灯が灯り、各店舗から立ち上る湯気と香り、そして飛び交う中国語。五感すべてが刺激される空間だった。
「わあ、すごい!」と愛子と葵彩も目を輝かせる。揚げ物の香ばしい匂い、焼きイカの香り、果物の甘い香り。様々な匂いが混ざり合いながらも、不思議と食欲をそそる。
夜市を散策しながら
「さて、何食べようか」と家族で相談しながら、夜市の通りを歩き始めた。周囲には興味深い店がたくさんあった。天ぷらのような揚げ物を売る店、巨大な蒸し包子を作っている店、カラフルなフルーツジュースを売る店。どれも美味しそうで、目移りしてしまう。
愛子と葵彩も「あれ何?」「これ美味しそう!」と興奮気味だ。しばらく歩きながら色々な店を眺めていると、私は二人に聞いてみた。「何が食べたい?」
すると葵彩が即答した。「ラーメン!」
4歳の次女は、日本にいる時もラーメンが大好きだ。
台湾でラーメン、と聞いて最初は少し戸惑った。せっかく台湾に来たのだから、台湾料理を食べた方がいいのではないか。
しかし、葵彩の「ラーメン」という言葉に、私も無性に麺類が食べたくなってきた。台湾にも美味しい麺料理はたくさんあるはずだ。
「じゃあ、麺料理の店を探してみようか」と提案すると、家族全員が賛成した。夜市の中を歩きながら、麺料理を扱っている店を探し始める。
行列を発見
通りを進んでいくと、ある店の前に長い行列ができているのが目に入った。
「12号攤」という番号が掲げられている。看板には「乾面・餛飩湯・排骨面」の文字。
麺料理の店だ。
「あそこ、すごい並んでるね」と妻が言う。確かに、15人以上は並んでいるだろうか。
これだけの行列ができているということは、きっと美味しいに違いない。
台湾の夜市では、行列ができている店は信頼の証だと聞いたことがある。
「よし、あそこに入ってみようか」と私が提案すると、家族も賛成してくれた。
行列に並ぶこと自体も、旅の楽しみの一つだ。愛子と葵彩も「並ぶー!」と元気に声を上げた。
行列の中で
列の最後尾に並びながら、店の雰囲気を観察する。厨房では若い店主が慌ただしく動き回り、麺を茹で、スープを注ぎ、次々と料理を仕上げていく。その手際の良さは、長年の経験を感じさせるものだった。

メニューボードを見上げると、乾面(汁なし麺)、餛飩湯(ワンタンスープ)、そして排骨面(排骨麺)という文字が並んでいる。
排骨麺美味しそうだ。
「何を頼もうかな」「やっぱり一押しの排骨麺だよね」と子どもたちと話しながら、ゆっくりと前に進んでいく。
待ち時間は20分ほどだろうか。6歳と4歳の娘たちが飽きないか心配だったが、周囲の活気ある雰囲気を楽しんでいるようで、二人とも「まだー?」と言いながらもご機嫌だった。
まさかの展開
約20分ほど待って、ようやく私たちの順番が近づいてきた。
そして、私たちの番になって注文しようとすると、店員さんが申し訳なさそうに言った。「排骨麺は売り切れです。餛飩湯と乾面ならまだあります」
せっかく並んだのに、人気メニューが売り切れとは、、、
しかし、これだけ早く売り切れるということは、この店の料理は相当美味しいのだろう。そして、残っている餛飩湯と乾面も、きっと美味しいはずだ。
後ろには行列が続いている。ここで諦めて他の店を探すより、この店の別のメニューを試してみた方が良さそうだ。妻が小声で言った。「餛飩湯、美味しそうだよね」愛子と葵彩も「うん、それ食べたい」と賛成の様子。
私は店員さんに言った。「じゃあ、餛飩湯を3つください」
予想外の美味しさ
数分後、餛飩湯が運ばれてきた。白い丼に注がれた透明なスープ、その中に5つほどのワンタンが浮かんでいる。見た目はシンプルそのものだが、湯気から立ち上る香りは食欲をそそるものだった。

テーブルに用意されていた調味料を見ると、黒酢、ラー油、醤油などが並んでいる。まずは何も加えず、スープをひと口。驚いた。これほど透明なスープなのに、しっかりとした旨味がある。豚骨や鶏ガラをじっくり煮込んだであろう深い味わい。派手さはないが、優しくて滋味深い。
そして、ワンタンを頬張る。皮は薄くてつるんとした食感、中の肉餡はジューシーで程よい味付け。シンプルながら、素材の良さと技術の高さが感じられる一品だった。
「これ、美味しいね!」と愛子が目を丸くする。「うん、スープが優しい味」と葵彩も笑顔。
ラーメンが食べたいと言い出した本人も、この餛飩湯に大満足のようだ。
妻も「これは当たりだったね」と満足そうだ。
私自身も、この餛飩湯の美味しさに感動していた。たまたま行列を見て入った店だったが、これは間違いなく絶品だ。70年以上続く老舗だと後で知ったが、その実力を十分に味わうことができた。
夜市の余韻
餛飩湯を完食した後、私たちは夜市をぶらぶらと散策した。「排骨麺も食べてみたかったね」と妻が言うと、「また基隆に来る機会があったら、今度こそ食べよう」と私。
次の目標ができた気分だった。

基隆廟口夜市の活気と熱気を、家族全員で満喫することができた。
午後9時頃、来た道を歩いてホテルに戻る。明日はいよいよクルーズ船への乗船だ。愛子と葵彩は興奮と疲れで、ベッドに入るとすぐに眠ってしまった。
ベッドの横の窓から基隆の港を眺めると、まだクルーズ船の姿は見えなかった。
明日の朝には入港してくるのだろう。あの大きな船に乗って、家族で海の旅に出るのだ。
旅の楽しみ方
ベッドに横になりながら、今日一日を振り返る。2023年にトランジットで立ち寄った桃園空港から、今度は台湾に入国し、電車を乗り継いで基隆までやってきた。
そして夜市での予想外の展開。
葵彩の「ラーメンが食べたい」という一言から始まった夕食探しは、思いがけず美味しい餛飩湯との出会いにつながった。
事前に綿密に計画を立てて店を調べるのも良いが、こうして偶然見つけた行列に並んでみるという旅のスタイルも悪くない。むしろ、予定調和ではない発見こそが、旅の醍醐味なのかもしれない。
明日からのクルーズも、きっと予想外の出来事や発見があるだろう。それを楽しみながら、家族との時間を大切にしたい。そんなことを考えながら、私も眠りについた。
基隆の夜は更けていき、港は静かだった。明日入港してくる大きなクルーズ船が、私たちを待っている。私たちの冒険は、まだ始まったばかりだった。

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